2011年5月21日土曜日

ユーロ圏のインフレ率、過?年での最高に

 【フランクフルト】今年初めてのユーロ圏の経済指標はポジティブというよりはネガティブな内容で、経済成長の後押しとインフレ抑制の微妙なバランスに改めて注目させるものだった。

 ユーロ圏の昨年12月の消費者物価上昇率は前年同月比2.2%で、過去2年間で最高を記録した。欧州中央銀行(ECB)が設定した「2%近く、しかし2%を下回る」という上限を超えたのは2008年11月以来初めて。

 国別の指標からは、12月の大幅上昇にはエネルギー価格の影響が大きいことがうかがえる。食品の値上がりや間接税、統制価格の引き上げも影響した。

 ウニクレディトのユーロ圏エコノミスト、マルコ?バリ氏(在ミラノ)は、この数値は金利を現在の非常事態の低水準にいつまでも置いておけないことを示す新たな証拠だと指摘した。

 フランスとアイルランドでは性急な利上げのリスクがあった。フランス国立統計経済研究所(INSEE)によると、同国の12月の消費者信頼感は夏以降の最低に落ち込み、この結果、ユーロ圏第2の経済大国の経済成長への期待に疑問が呈されることになった。

 INSEEの指数は11月のマイナス33から同36に低下、エコノミスト予想の同32を下回った。これは、支出削減と増税という短期的な経済成長への圧力を財政健全化による信頼感の高まりが相殺する、というトリシェECB総裁の見解と矛盾するものだ。

 仏コンサルティング会社Xerfiの主任エコノミスト、アレグザンダー?ロー氏は「本物の信頼感の危機だ」とし、「この消費者信頼感指数はフランスの経済情勢のもろさを確認した。旺盛な消費支出なしで力強い成長が戻ってくると期待するのは幻想だ」と述べた。

 アイルランドの不動産業者シェリー?フィッツジェラルドの調査では、不動産バブルの崩壊による容赦ない富の破壊の様が示され、昨年の中古住宅価格は平均12%下落した。同社のエコノミストは、同国に対する救済策を確実なものとするための緊縮財政措置によって住宅市場は今後も厳しい情勢が続くとの見通しを示した。

 ユーロ圏各国からのニュースは、ユーロ圏が経済成長の面でいかにドイツに依存しているかを示している。同国は来週、昨年の経済成長が3.5%と、1990年代初めのドイツ統合ブーム以来の高水準に達したと発表すると見られる。今年は伸びが鈍化するだろうが、ユーロ圏全体の平均を上回り続ける見込みだ。ドイツ経済研究所(DIW)は4日、今年の成長率を2.2%、IMK経済研究所は2.5%とする予想をそれぞれ発表した。

 一方で、ドイツ連邦労働局4日の発表によると、12月の同国失業者数は季節調整後で3000人増加。1万3000人減という予想に反し増加した。季調後の増加は18カ月ぶりだ。失業率は7.5%で横ばいだった。

 労働局長は「労働需要は依然として高い」とし、今年は失業者が25万人減少し300万人前後になるという政府の見通しに変わりはないと述べた。ドイツ統合以来の低水準だ。

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引用元:Tera rmt

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